霧のブルノエアポート

チェコのブルノを拠点に浴びた芸術などについて記録。

欲望こそ力─ミュージカル『ダンスオブヴァンパイア』 オーバーハウゼン/メトロノーム劇場

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今、ヴァンパイアが熱い!!

先月舞台『SPECTER』*1のDVDが発売され、来月開催を控えた『繭期大夜会』*2、その直後発売の舞台『COCOON*3のDVD。そしてそして、11/5から帝国劇場で公演が始まミュージカル『ダンスオブヴァンパイア』

熱い!!!

まあヴァンパイアに関して言えば私の中では年中熱いのだけど。それはさておき。

実はこれが人生初のTdV、もう本当に楽しかった!結構公演があってるのに日本版TdVを観たことがなかった。CDは散々聴いていて、音源からも絶対楽しいミュージカルだなというのは伝わってきていたが想像以上!

……と終始こんな調子なので、全体的にはっちゃけた文でお送りする本記事内には日本版との比較とかはほぼないです。申し訳ない。今回の日本公演は日本にいた時の環境なら間違いなく観れたのに。悔しい……。

という事で前回の『アナスタシア』に引き続き日本で観れないならこっちでみようシリーズ。観劇日が一日しか空いてないけど来たからにはたくさん観て帰ります。もう誰にも止められない、我らは止まらない。

調べるとTdVはだいたいいつもドイツのどこかでやってるみたいですね。日本公演初日よりも絶対に先に観るぞと謎の意気込みでこの時期のチケットを取りました。

友人にドイツで観ることを伝えたらそっちの方が羨ましいと言われたが、ドイツに石川禅さんはいない。神田沙也加さんも相葉裕樹さんも、そして山口祐一郎さんもいない。それはそれ、これはこれ。

 

・劇場までの道のり

私はアムステルダムから劇場のあるオーバーハウゼンまでバスで行ったのであまり参考にならない。空のアクセスだとデュッセルドルフ空港からが電車で一本なのでいいと思う。もちろんデュッセルドルフ中央駅からオーバーハウゼン中央駅までも乗り換えの必要なし。

中央駅から劇場まではバスが便利。一応歩けないこともないのと時間がかなりあったので劇場まで歩いてみたが、約50分かかった。バスが便利。

ただ、歩いた果てにこの劇場が見えた時は物凄くテンションあがった。

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まさに『劇城』という門構え!

開演時間が近づき暗くなってくるとライトアップされ、周囲の雰囲気とともにさらに気分も高まっていく。

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劇場前には舞台写真のパネルが展示

 

・劇場内へ

中に入ると劇場名もしっかり書いてあるフォトローケーションがお出迎え。

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階段も高級感あるレッドで写真映えしそうなスポットでした。

続いて物販の様子。

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内側を見られたらもれなく二度見されそうな傘

バーカウンターからは飲み物の提供のみで食品は出していないようでした。

 

・開幕

※ネタバレ一切配慮してないです。

 

客席は一階のみの前回書いたハーグの劇場とほぼ同じ作り。火曜ソワレと平日のためか結構空席がありました。

一応自分の名誉のために書いておくと、月曜はもともと授業がなくて今週は火、水の授業がなくなり5連休になったので観劇旅行に出たわけです。授業飛ばしたわけじゃないのよ。こっちにきてまで遠征パズル*4組んだ。

 

『アナスタシア』では嬉しいサプライズがあったと書きましたが、こっちではちょっと嬉しくないサプライズが。というのも終盤も終盤、サラが噛まれた後の脱出のシーンで機材トラブルがあったらしく舞台が一旦停止。それが結構長引いたため再開するかもわからずかなりヒヤヒヤしました。無事に最後まで観ることができて本当に良かった。

 

圧巻だったのはやっぱりクロロック!歌い始めると劇場の雰囲気が一変して空気を変えちゃうんですね〜……まさに空間を支配する歌声。凄かった。特に高音部の圧が素晴らしくて。ずっと鳥肌が立っていた。

第一声を聴いた時に声わっか!と思っちゃってごめんなさい。役者さんはまだ37歳らしくびっくり。我らが伯爵様は今年で63歳だから余計にびっくり。逆に未だにバリバリ現役の山祐さんが凄いのかしら。

♪抑えがたい欲望 では悠久の時を生きるクロロックの苦悩を感じさせる厚みのある声を聞かせてくれました。そしてなにより好きなのが♪ワルツ。プロフェッサーを圧倒する歌声にゾクゾクした。終演後にお話ししたTdVを何度か観たことがあるというドイツのお姉さん曰く今回のクロロックが一番良かったらしい。

それを聴いてクロロックに比較対象がいるっていうのが新鮮だなと思った。韓国版『レベッカ』のキャスト表*5Twitterでみたときも同じことを考えたが、日本だとこの役といえば山祐さん!って感じなのでクロロックやマクシーに複数人役者がついてるのはやっぱり新鮮。

それからクロロックダンサーさんの肉体美が素晴らしくて……最初に涙出てきたのが一幕のダンスシーンだった。あそこのテンションのあがりよう凄いですね。ダンスシーンの評判は聞いていたもののあんなにかっこいいとは思っていなくて……本当に素敵だった……。

 

それと、ヘルベルトのビジュアルがすっごく良い!金髪オールバックを大きな青いリボンで一つに纏めてたんです。ハリーポッターに出てくる大人になったドラコ・マルフォイみたいな感じ!毛先はお父さん譲りの黒髪なので逆プリン?

役者さんのインスタより

インスタグラムにお写真がありました!これはちょっとわかりづらいけど後ろで髪をまとめてます。

この衣装はフィナーレ時のレザーのお衣装。個人的には普段着(?)のグレーのゴシックなお衣装が好きだった。

インスタグラムを確認するに、どうやら昨年のウィーン公演ではお父さん同様髪を下ろしてたようなので、「縛って青いリボンつけよう!」って提案してくれた人には感謝しかない。

姿に違わず演技もとってもチャーミングで彼が出ている時は思わずオペラグラスで追ってしまった。特にアブロンシウスに殴られた時の表情が最高だった。歌も素晴らしく、アルフレートを誘うAh~は本当に女性かと聞き間違うほど声が綺麗。それでいて「もうダ〜メ〜!」の歌い上げはパワフルで、だいぶビジュアルにやられたところはあるけどとにかくヘルベルトに夢中だった。

 

ユダヤ人のヴァンパイアだから〜」のくだりで客席が爆笑してたのも面白かった。あれ、ブラックジョークですよね。多分日本だと笑いが起きるポイントではない気がする……何割くらいピンとくる人いるんだろう。

それから誘われたというより自分の意思でお城に向かったという感じのサラや、結構可愛らしいお顔から力強い声が溢れてくるマグダなどなど全体的にパワフルな印象。プロフェッサーの早口ソングは言語が違っても聞き応え抜群だし、凄い楽しかった……!(それしか言ってない)

ほかのバージョンも気になるので来年1月末からのコペンハーゲン公演検討します。

ただこっちのカテコは踊らないんですね!踊る気満々でいたからそこはちょっと残念。先述のお姉さんに日本のカテコ映像を見せたところ「楽しそう!やりたい!」って言ってくれたし、踊ったらいいのにな。帝劇公演ではまたスペシャルカーテンコールデイもあるらしく。羨ましい限り。

やっぱり日本版も観たい!たくさん観たい!強欲だけど欲望こそがこの世界を動かすので。舞台装置一新したらしいし、またすぐ再演があると信じてます。

 

ではまた!