霧のブルノエアポート

チェコのブルノを拠点に浴びた芸術などについて記録。

ミュージカル『ファントム』初日に寄せて―パリのオペラ・ガルニエをレポート!

ミュージカル『ファントム』初日おめでとうございます!*1遠くからお祝い申し上げます。

この良き日に、今回は『ファントム』の舞台となったパリにある「オペラ座」ことオペラ・ガルニエについて書いていきたいと思います。実は九月末にレミゼと1789の聖地巡礼をした際にここも訪れていたのだけど、どうしても今日アップしたかった!

以前のパリ歩き記事

 

パリのオペラ座は二ヵ所、ここオペラ・ガルニエと比較的新しいオペラ・バスティーユがあります。きっと「パリのオペラ座と聞いて皆さんがぱっと思い浮かべるのはこちらのオペラ・ガルニエ。『ファントム』だけでなく『オペラ座の怪人』の舞台にもなったところですね。というか、ALW版のほうが有名よね。

 

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まずは外観から。左右に輝く金色の女神像は、左側が調和、右側が詩を象徴しているそう。観光客用のチケット売り場はここからぐるっと回って反対側。見学チケットは事前にネットでも購入できるので並ばずに済むこちらがおすすめ。見学ができるのは公演時間外でマチネがある日は時間が短くなります!要注意。

そしていよいよ中に入るとそこには……

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!?

シアンのネオンで彩られた談話室が!なにこれ~!?

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こちらの噴水はマゼンタに。なんでも、ここオペラ・ガルニエとオペラ・バスティーユがなんとWアニバーサリーイヤー*2でそのお祝いとしてちょっと特別な装飾をしているらしい。テーマはDark&Light。そんなロミジュリじゃないんだからさぁ*3……とクラシックな感じを期待していた私は若干肩を落とした。

 

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なんてそんな気分もこのエントランスをみると吹き飛ぶ。豪華な装飾がされた大階段に細部まで書き込んである天井画!

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ちなみに中央にでかでかと鎮座しているゴールデンなタイヤは先ほどと同じくアニバーサリーの記念展示です、はい。

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二階のバルコニー部分からの写真

当時の皆さんはここから自分の後にやってくる客を眺めるのも楽しみの一つだったそう。同じドレスはすぐに気づかれるから、被らないよう気を使ったんだと。ひええ。

 

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客席一階からの写真

こちらは客席内部!本当に豪華。金と赤の二色配色には劇場を実際よりもこぢんまりと感じさせる効果がある。これはお客さんにより舞台に集中してもらうための設計。

なお、客席内に入るには通常の見学コースではなくガイド付きツアーへの申し込みが必要です。自分で回るタイプの見学だと二階ボックス席の一部が解放されていてそこから覗く感じ。

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下手側ボックス席からの写真

舞台は客席から見やすいように5度ほどの八百屋坂舞台になっている。残念ながら次の公演準備のため板が下りていた。

一応舞台の下には現在も湧水をためておく地下湖があるんだけども、とてもじゃないが舟は通れません……。おさかなはすんでいるらしい。

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エリックの5番ボックスは写真の四角く囲ってある部分になる。下手が奇数席、上手が偶数席で舞台側から数えていくので下手から数えて3番目ですね。このボックス席に誰が座っているのかは隣からは当然見えず、カーテンがあるので後ろの窓からものぞけない仕様。当時は主な娯楽がオペラだったからスキャンダル対策でこうしてあるそう。(反対側の客席から見えるのでは?と思ってしまった)

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こちらはギリギリまで舞台に近づいた、つまりクリスティーヌの目線に寄って撮った写真。真正面を見ればファントムボックスはあまり目に入りませんがちらりと目線を動かせばそこにいる、そんな感じ。まあ『ファントム』だとエリックはそこにはいないのだけども。

 

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天井画とシャンデリアはこんな感じ。シャンデリアは重さ7トン、高さ8メートル。実際にろうそくを使っていたころは点灯するのに3時間もかかっていた。電気化された以外は当時のまま残っているのでエリックが落としたのと同じシャンデリアを望むことができる

天井画はシャガール作で有名なオペラやバレエの情景とパリの街並みが描いてある。1964年に改修されたものなのでエリックやクリスティーヌのころにあったものとは別物です。

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これが当時の天井画の複製。どうしても反射してきれいに撮れなかった。二人が実際に見ていたのはこちらの絵。

この天井画の上にそのままシャガールが描いたので、現在の絵を剥がすとこの絵が現れるはず。絵を新しくするとなった当時は猛反対の末署名運動もあったそうで。想像に難くない。

 

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ここは例の5番ボックス扉前です。金のプレートには"LOGE DU FANTÔME DE L'OPERA"(オペラ座の怪人のボックス席)の文字が。

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現在でもそこはファントムのためにあけられている……わけもなく、フランスの人たちはまったく気にせず座るそう。というか、フランスでは『オペラ座の怪人』自体そんなに知名度が高くないらしい。

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昼間の見学時間には封鎖されているので中に入ることは叶わず。こちらは窓から頑張って撮った写真になります。

 

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思わず溜息がでるほどきれいなホワイエ。鏡と窓を交互に配置することで空間をより広く錯覚させるようにできている。

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暖炉が置いてある部屋の端

部屋の両端の壁も鏡なので、実際より長く部屋が続いているように見えますね。ちなみに天井画にはここの設計士であるガルニエ氏と彼の奥様の肖像画が隠れている。それを茶化して「愛のホワイエ」なんて呼ぶ人もいるとか。

どこを見渡しても本当に豪華で美しくてうっとり。エリックは深夜に一人で劇場内を散歩していたりしたんだろうか。

 

と、実際にファントム、そしてオペラ座の怪人の世界に浸ってきたわけですが……公演がみたい!推し*4と推し*5が相手役で共演するというのに……。演目自体は雪組さんの公演*6を映像で見せてもらったのですが、それがあまりに素晴らしかっただけにあれをやってるところ、観たい……と余計に思いが募る。ALW版は2020年10月から公演が決定しましたね!行きたい!シャンデリアが落ちるのか気になるところ……。

というわけで、どうかファントムを観劇に行かれる皆様方におきましては、アンケートのご要望欄に映像化希望の旨を書いてくださると嬉しいです。何卒……。

※追記

とかいってたら早々にDVDの発売が決まりましたね!!!有難い!帰国時まで楽しみに待ちたいと思います。

 

*1:ミュージカル『ファントム』2019年公演

*2:オペラ・ガルニエ設立350周年及びオペラ・バスティーユ設立30周年

*3:ミュージカル『ロミオ&ジュリエット』2017/2019版参照

*4:加藤和樹さん

*5:木下晴香さん

*6:宝塚歌劇団雪組公演 2018年11月9日初日2019年2月10日大千秋楽