霧のブルノエアポート

チェコのブルノを拠点に浴びた芸術などについて記録。

ロンドン観劇旅行まとめ

2月頭にロンドンに観劇旅行に行ってきたのでそのまとめです。8日間ロンドンに滞在して、うち2日移動日だったので6日間でひたすら演劇を浴びてきました。流石にいつもみたいな単記事を全部に書くのは大変なのでまとめて。そのうち書きたい奴だけ書くかもしれない。

 

2/2  舞台『ハリーポッターと呪いの子Part1&Part2』マチソワ 宮殿劇場

今ちょっとタイムリー過ぎてビビってる。今回の本命の作品のひとつ。

もはやあちこちでニュースになっているから説明はいらないかもしれないが、ハリーポッターシリーズの正当な続編に位置する演劇作品。物語は原作最終章、ホグワーツ大戦から19年後ハリーの次男であるアルバスがホグワーツに入学するところからスタート。全編が5時間と非常に長く二部に分かれているので、見ようと思うとマチソワか2日連続ソワレに劇場に通う形になる。主な主人公はハリーの次男のアルバスくんとドラコ・マルフォイの一人息子のスコーピウスくん。と、こんな形なのでハリーポッターシリーズのストーリーが一通り頭に入っていないと話がさっぱり分からない。作品ファン向けの演目。この形で演劇作品として集客があって成り立つのハリポタという強いコンテンツ力を感じる。

どはまりしました。そのうち単記事を立てたいけどどうだろう。

はまったのは役者の演技によるところがかなり大きいかなと思う。演出の目新しさとか、『物凄い演劇』を求めていくと少し違う。たしかに魔法の演出などは工夫が凝らされていると思うし、あと劇場全体をつかって作品世界・魔法界に引き込むやり方なんかは流石でしたが。専用劇場じゃないとできない演出なんかも多々。お金かけてるな~みたいな。脚本は(読んだ人はわかると思いますが)ファンですら多少賛否ある仕上がり。ファンだからこそ、かな。私もデルフィーの設定にはあまり納得がいっていない勢です。

元々戯曲は出てすぐに英語で、その後日本語で一度だけ読んだことがあったので結構忘れてるもののざっくりした内容は頭に入った状態での観劇。これは正解だったと思う。かなりの密度のストプレを5時間、コテコテのブリティッシュイングリッシュで浴びるので今の私の英語力だと結構疲れるのと集中がもたない。話を知っているからこそアルバスとスコーピウスの関係の機微とか、ハリーやドラコなどのキャラクターの掘り下げなんかに集中できてのめりこんでった感じ。作品のファンとしてみたい解釈のところを深く見せてくれるからキャラクターに思入れがあると嵌る。セリフのひとつひとつが重たくて一部でも二部でもいろんなところで泣いてました。

スコーピウス役のジョナサン・ケースくんの演技が非常に良かった。喜と哀のコントラストがきれいだった。基本的に明るくふるまっているキャラクターで楽しそうな時は楽しそうであるのだけど、哀しみが根っこにありそれがむき出しになったときの破壊力が凄まじい。顔を真っ赤にして涙をぬぐいながらセリフを言っている姿が大変印象に残っています。ドラコの場合泣くことを自分に許していなかったろうしまして父親の前でなくなんてもってのほかだったと思うので、スコーピウスが素直に涙を流せる子だというのはそう育てたドラコとアストリアも後ろに見えるようでうれしい。体格が大きく(おそらく185㎝くらい)彼の杖とおなじく常に猫背になっているのが背負っているコンプレックスを象徴しているようだった。あと単純に間の取り方とかセリフ回しが上手い。年上のキャストも多い中客席の笑いを一番かっさらっていってた。すごい。

 

まんまと嵌ってロンドンから帰ってきた後もこの舞台に頭を持っていかれていたわけですがまさかこのタイミングで日本公演が決まるとは思わなかった。

現在戯曲が日本語でも出ているが、もし日本公演を観たくてこの機会に予習したいなって人がいたら少し待ってみてほしい。この作品のはじめてを劇場で得られる機会があるならそれを優先してほしい。間違いなく、作品としての威力が最大になるのは演劇という形式をとったときだから。これまでもしそれを得たければ海を越えなきゃいけなかったし、それが難しいから戯曲で作品に初めて触れた人が多いけれど、気軽に完成した形で触れられるようになるなら絶対にそれが初めて作品に触れる機会にした方が面白いと思う。日本公演で初めて呪いの子に触れられる人たちがとても羨ましい。記憶消したい。だから大歓迎だし超楽しみです。日本公演。(欲を言えばWSSみたいに日本公演の前に来日やってくれたら最高だけど……ないよね……)

単純に読み物として読みたいって人はもちろん読んでみてください。スコーピウスくんをよろしくお願いします。

 

 

 

2/3  ミュージカル『ウィキッド』ソワレ アポロ・ヴィクトリアシアター

2日目は四季で観れていなかったけどずっと見たいと思っていたウィキッド。当日券チャレンジに大勝利し£30で一階前方席をゲット。この演目は当日券でとるのがおすすめ!アプリで簡単に取れるし!

今回予想外に一番刺さって一番泣いた作品。四季好きな方を見ているに、圧倒的に再演を望む声が大きいのがこの作品だなと感じていたわけですが、理由が非常によくわかった。これは何度でもみたいしまた日本でもやってほしい。もっとハッピーミュージカルだと思ってたのに、For good以降はずっと泣いてました。嗚咽漏れそうになって目から下を全部ハンカチで覆う羽目になった。とにかく唯一無二の相手とか誰にも代えがたい存在とか、お互いそう思っている二人が2度と会えなくなるったり引き離されたりそういう描写に弱いんだな……。生死すら知れないのは切ない。それからOne short dayで舞台上が緑にあふれて、視覚的にエルフィーが世界に溶けこんでいるのがわかりやすくて、そこの二人のやり取りでちょっと泣いてたしDefying Gravityは照明が神々しすぎて神話じゃんって言いながら泣いてたし二幕のI'm not that Girlのリプライズはこのリプライズはオタクに効く……って呻きながら泣いてた。グリンダが渡した帽子が最後までエルフィーのそばにあったのが救いだった。

オズの魔法使い』の物語を知ってると、オズ本編につながったときに何が起こるのか察せてしまって恐ろしいですね。嵐が起きた瞬間ネッサがどうなるかわかってしまって鳥肌がたった。知っているというのは怖い。

アナ雪とこの作品の関連性を知ったうえで、先にアナ雪を見ていたから順番としては反対でもどうしても作品構造として意識はしてしまった。ウィキッドを踏まえると、Frozen2の二人の結末にはさらに考えさせられるところがあるなあと思ったり。ハッピーエンドではないよね、ウィキッドもF2も。

 

 

2/4  ミュージカル『レ・ミゼラブル』ソワレ ソンドハイムシアター

今回の本命その2!最新のレミゼ

12月から始まった新演出ソンドハイム版。これまでの新演出がさらに新しくなった『ソンドハイム版』だというのは知っていたもののどの辺がどう変わったとかは情報を入れずに観に行きました。結構変わってたね!

これね……うーん、何が原因かわからないんですが、私うまく入り込めなかったんですよね……。聞きなれた英語詞のはずなんだけど。変更点に驚いていたせいなのかなんなのか。泣き度でいえばハンガリー版のほうが泣いたかな……。曲のテンポの問題は少しあるかもしれない。

観劇メモを見返すとグランテール……と遺言のように書いてあるだけで何の参考にもならなかった。グランテール、Drink with meから明らかに様子がおかしい。仲間の戦闘中もひとりだけ面よりで寝てるようにうずくまっていたりだとか。これは原作を想起させてきつかった。ガブ死からは必至に仲間を留めようとしていたようにも見えって……最後はどんな想いで打たれにいったんだろう。

アンジョルラスやジャベールにもかなり思うところはあったもののまだうまく言語化できない。もう少し噛み砕きたいな~という感じのソンドハイム版だった。

 

 

2/5  舞台『ハリーポッターと呪いの子Part1&Part2』マチソワ 宮殿劇場

おかわり。この日は演目が決まっておらず、本当はDear Evan Hansenとオペラ座とCOME FROM AWAYと&Julietで迷っていて当日券みてきめようとか思ってたんだけど一応と思ってHPCCの当日券をのぞいてみたところ4列目のセンターというとんでもない席が戻ってきており気付いたら購入していた。こういうことあるよね。おかげで残高がえらいことになってるが後悔はしていない。

結果的におかわりして大正解だった日。この日はスコーピウスくんのキャストがアンダーのルーク・サマーくんになっており、ちょっとジョナサンくん目当てでチケット追加したところはあったので一瞬がっかりしたが二人のスコーピウスくんを見比べてかなり視点が広がったので本当に増やして良かった。ルークくんはまずなによりジョナサンくんに比べてセリフが圧倒的に聞き取りやすい。ノンネイティブに優しい。ジョナサンくんの活舌が悪いとかでは全くなくて、演技プランの問題。ジョナサンくんのスコーピウスはセリフ回しがかなりギークな感じで独特だから英語慣れしていないと結構正確に聞き取るのがハードだったりする。対してルークくんは割と正統派でまっすぐな役作りなので、セリフも、あと感情の機微もわかりやすい。より子供らしいといえばそう。ドラコとの距離感が近いのも面白かった。なんだかんだ一番いい親をしてるのってドラコなんですよね……。

前回演出面ではあまり刺さらなかったが近くで観ると迫力がすごくてかなり印象が変わった(そりゃそうだ)。衣装が細部まで見られたのもうれしい。二幕冒頭のスコーピウスの衣装がすごい好きです。

 

 

2/6 ミュージカル『メリー・ポピンズ』マチネ プリンスエドワードシアター

前日に続きマチソワ。ひとつめはメリー・ポピンズ。日本公演に行けなかったのでミュージカル版は今回が初見でした。

前情報ゼロだったのでほぼ映画と一緒で変更があったとしても他のディズニーミュージカル程度のマイナーチェンジでしょ~とか思ってたらだいぶ違ってびっくりした。ジョージの性格の掘り下げとか、バンクス一家の在り方やラストとか、ミュージカル版の方がかなり好きかもしれない。あと場転が好み!ドールハウスみたいでかわいい。

メリー・ポピンズのあの独特の色彩で魅せる世界観が目の前に広がるのはだいぶテンションあがりますね。メリーが次々衣装チェンジして、その衣装が全部かわいいのも素敵。バートとメリーのペアダンスもめっちゃかわいかった。

お金がなくてGrand Circleからの観劇でしたが、二階でも三階でもまったく置いて行かれない演出はいい!特に星空のシーンは前の方から目の前まで星空が広がってくるのが全部見えて楽しかった。ラストのロングフライも上からでも見切れることなく楽しめるのはいいですね~。

学生団体が入っていて、学校でWEミュージカルとか超羨ましいなと思った。見終わった後すっごい日本キャストで観たくなったので日本でも早く再演してほしいです。

 

2/6 ミュージカル『Everybody's talking about Jamie』ソワレ アポロシアター

WEの新作ミュージカル。映画化も決まったらしいですね!

ドラァグクイーンになりたい高校生の男の子がスクールプロムにドレスで出ようと奮闘する話。なんかいわゆる「ドラァグクイーンもの」という感じではなくて、ひとつの夢追いストーリーになってるのがいいなあと思う。ほっこりできるお話。

偶然にも場転の仕方が同じ日に観たメリポピと少し似ていて、全然雰囲気もテーマも違う演目なのに面白いなと思ったり。逆に似た手法をそれぞれの作品にしっくり合うような形で落とし込んでるのが面白いのかな。

話の内容がティーン向けなのもあり、客層は若めだった。きっともう少し大人になってからみたらまた見方が全然かわるんだろう。

新しいミュージカルなだけあって、スラングやネイティブに英語に触れていないとわからない単語が多用してあり客席の笑いについていけなかったり何を歌ってるのか聞き取れないシーンが多かったのがとても悔しい。後から歌詞を読んで補完したもののライブでついていけないのは残念。もっと英語強くならないとなあ。

 

 

2/7 ミュージカル『Six』ソワレ アーツシアター

ラスト!今回の本命その3。正確な年数は覚えていないが数年前にTwitterで感想を見かけてからずっと気になっていた作品。これもそのうち単記事たてたい。

大好きな演目になりました。劇場はキャパ350くらいの小劇場で、チケットも手売りなの?ってくらいシンプルなやつで、待合は超狭いカフェ。この時点で今迄みてきた作品とかなり違う。

ストーリーはヘンリー八世の6人の妻たちがよみがえり、一夜限りのライブを行うというもの。歴史もののガールズパワー系かな。なんだかミュージカルというよりライブそのものでバンド紹介もあるし(もちろんバンドメンバーも全員女の子)めちゃめちゃ客席煽ってくる。観客の熱狂具合がまあ凄い。歓声も手拍子も、熱量が半端ない。

老若男女関係なくすごく楽しそうなのがいいなと思った。斜め前のおじちゃんは歴史を皮肉ったジョークで超笑ってたし、隣のまだ十代にもならない女の子は舞台上の役者に夢中で手を振ったりしていた。ここでもジェイミーの時と同じで歴史のジョークとかを全然拾えずに結構悔しかった。後から歌詞を見直したんですが、言葉遊びがふんだんに使ってあっておしゃれで洗練された歌詞なんですね。M1Ex-Wives("元"妻たち)でポーカーにかけて(キングとクイーンの)ペアでいるより(クイーンが揃ってる)今の方が強いのよ、と言っていたり。あとアン・ブーリンのセリフがキレッキレで最高。6人の中で唯一息子を生んだもののその後死んでしまったジェーン・シーモアの「私の息子は母をなくしたのよ!」に対して「私の体は頭をなくしたのよ!」と返してみたり。

衣装もSF小説から飛び出してきたみたいでかっこいい!ロビーにファンアートがたくさん飾ってあったけど、描きたくなる気持ちはものすごくわかる。目を引く造形をしている。

これ日本で観れたら楽しいだろうけど、翻訳家泣かせだよな~。ニュアンスとか全ての言葉遊び訳すの不可能だと思う。でも絶対に面白いし日本でやったらどうなるのか気にはなる……やってほしいな~。

 

 

というわけで、9公演7演目。超楽しかったけど連続はさすがにちょっと疲れたね。

あとはサウサンプトンまで足を延ばしてタイタニック博物館に行ってきたりしました。あそこも凄くおもしろかったので時間があるときにまた記事で紹介できたらいいな。

WEのチケット安くはないんだけど、カテゴリー分けしっかりしてるから納得してお金を出せるのがいい。ハリポタの追加した日は一部約14,000円ちょい全編通して三万弱したけど、一階前方確定なら喜んで出すよ。一階の真ん中あたりでも一部約一万の合計二万とかだし(日によって変動はする)。

今回気になってたけど観れなかったやつもあるのでまた行きたい……お金はないです。