霧のブルノエアポート

チェコのブルノを拠点に浴びた芸術などについて記録。

レミゼゆかりの地を巡る─パリ歩きその①

レミゼ2019、先日札幌で無事に大千秋楽を迎えましたね!私は博多座のみの参戦でしたが、熱かった……!とはいえスケジュールとお財布の兼ね合いでほんの少ししか観れていないので、今から2021年が待ち遠しいです。(ミュオタ未来を生きすぎ問題)

そんなわけで興奮醒めやらぬうちに作品の舞台になったところを巡りにパリに行ってきたよ、って話。ちょいちょい19年レミの話もする。

f:id:brno:20190924070245j:image

六月暴動発生時ユゴーがいたチュイルリー公園

 

・リトル・コゼット時代

まずバルジャンとリトル・コゼットが通っていたサンメダール教会。運良く宿泊先のすぐ近くにあった。

f:id:brno:20190924033729j:image

ゴルボー屋敷に隠れ住んでいた二人が通っていた教会がここ。

そこからほど近い場所にあるのがコゼットが成長するまで穏やかに過ごしたピュクピュス修道院……の、

f:id:brno:20190924033840j:image

面影ゼロである

他の方のブログを頼りにとりあえず辿り着いた。この辺りの修道院でコゼットは育ち、バルジャンは庭師としてそれを見守ったわけね……しっくりこないけど。

少し脱線すると、「死の天使」ことかのサンジュストの感化院*1もピュクピュスにあったそう。作中サンジュストの名前はアンジョーラを形容する際に度々出てくるが、不思議なところで繋がりを発見。たまたまだろうけど。

 

・パリ警視庁

続いてはパリ警視庁!Stars!

ノートルダムから歩ける距離にあります。

f:id:brno:20190924035048j:image

限りなく照らされている警視庁

Starsだし、と思って夜に行ったら思いっきりライトアップされてて笑った。

さすがにトリコロールの上で星に誓うジャベールは格好がつかないので(りおジャベはちょっと似合いそうだけど)ちゃんとした(?)方もおいておこう。

f:id:brno:20190924035318j:image

 

・ミュザン

リュクサンブール駅を出てすぐのここはサン・ミシェル広場。

f:id:brno:20190924035435j:image

この広場にはかつてアンジョルラスら学生運動家達が集ったカフェ・ミュザンがあったらしい。というのも、付近は大学が多い学生街。

グランテールいいとこ住んでんじゃーん*2と謎の友人ムーブをかましつつぐるりと一周。すぐ後ろにはマリコゼ出会いの地リュクサンブール公園も。コミカライズ版のマリコゼがデートしていた場所そのままのところがあってテンション上がった。

現在は学生街らしくマクドナルドとバーガーキングが向かい合ってたりする。

f:id:brno:20190924035618j:image

中では多くの学生達が食事とお喋りを楽しんでいた。現代のミュザン?なのか??

 

・プリュメ街

次にこちらのお家。

f:id:brno:20190924040455j:image

俺はプリュメ街55番地にいる〜♪

そう、ここはプリュメ街55番地(今は通りの名前は変わっている)。バルジャンとコゼットの隠れ家です。出窓に飾ってあるお花がかわいい。

近辺は至極普通の住宅街で、物静かで閑散とした雰囲気だった。悲鳴もよく響きそう。

 

バリケード

続いて個人的大目玉スポット、レアル駅周辺!ここは物語の山場である六月暴動の作中の舞台になった場所。

早速アンジョルラスたちのバリケードがあったとされるサン・ドニ通りとシーニュ通りが交差する地点へ。本文によると、

街路の入り口は広く、奥は狭まって行き止まりになり、コラント亭はその喉を拒し、モンデトゥール街は左右とも容易にふさぐことができ、攻撃することのできる口はただ、何ら掩蔽物のない正面のサン・ドゥニ街からだけだった。酔っ払っていたボシュエは、食を断って専念するハンニバルにも劣らぬ慧眼を有していたわけである。

(豊島与志雄訳 『レ・ミゼラブル』第4
部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌)

だそう。というか、レーグル*3の言葉がここにバリケードを築く切っ掛けになったのを加味するとレーグル/アーミーオフィサーの兼役に余計になんとも言えない感情が湧く……。

さてさて実際は、こんな感じ。

f:id:brno:20190924042341j:image
左側の出窓が映画でアンジョルラスが撃たれた場所にそっくり!

ここがバリケードだとするとアンジョーラとグランテールの最期の場所、コラントもこの辺りのはず。泣きそう。この二人の最期があまりに好きなので引用します。

グランテールは立ち上がっていた。

参加しそこなって仲間にはいることができなかった全戦闘の燦然たる光は、様子を変えたこの酔漢の輝く目の中に現われた。
彼は「共和万歳!」と繰り返し、 しっかりした足取りで室を横ぎり、アンジョーラの傍に立って銃口の前に身を置いた。
「一打ちでわれわれふたりを倒してみろ。」 と彼は言った。
そして静かにアンジョーラの方を向いて言った。
「承知してくれるか。」
アンジョーラは微笑しながら彼の手を握った。
その微笑が終わらぬうちに、発射の音が響いた。

(豊島与志雄訳 『レ・ミゼラブル』第4部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌)

アンジョルラスといえば、2019年は相葉裕樹さんのアンジョが一際印象に残っている。17年比での成長度というか仕上がり具合というか、とにかく鮮烈だった。私はアンジョルラスとアンジョーラは得て非なる存在で、この世界にアンジョーラを演じきれる人間がいるものかと思っているタチだが、(なんたってうっかり受肉しちゃった天使なので)「自由を〜!」と歌う相葉アンジョの迫力を見た瞬間、もしかしたら彼はアンジョーラなのかもしれないなどと思った。

なんて19年レミに思いを馳せつつなんの変哲も無い通りで立ち尽くすヤバイアジア人is私。怪しまれないうちにそそくさと移動。

 

・ジャベールの自殺

f:id:brno:20190924053214j:image

夕暮れが美しいこちらはセーヌ川。つまり、ジャベール の入水ポイント

黒々と光る水をじっと見つめていると飲み込まれそうな錯覚に陥る。私はミュージカル版のこのシーンがとても好きだ。「ジャベールの自殺」が「バルジャンの独白」のリプライズになっているのは凄く残酷だなと思うと同時に、対比が巧いと唸ってしまう。バルジャンはコゼットがいたからずっと「神様のお側」にいられたけど、ジャベールがそうなれたのは今際のこの一瞬だったのかもしれない。

そして今回のジャベール陣も本当に素晴らしかった!ここはその人のジャベール像が一番よく出るシーンだと毎回噛み締める。レミゼの魅力の1つは際限なく多くの役者の解釈を観られる所にもありますよね。

 

・結婚式

ラストはサンポール・サンルイ教会。マリウスとコゼットが結婚式を挙げた教会だ。

前述のレアル駅から徒歩圏内にある。

f:id:brno:20190924064729j:image

外観

f:id:brno:20190924064947j:image

中はこんな感じ。愉快だね、豪気だね。

運良くパイプオルガンの演奏が始まったのでしばし聴き惚れる。ちなみにこの近くにユゴー記念館があるんだけど、私が行った時は工事で閉鎖中だった。残念。

 

 

以上、今回まわれた全てです!

楽しかったーすごい疲れたけど楽しかったー!

そして今回たくさんの先人の皆様のブログ・サイトに助けられました。さすが歴史が長いだけあって資料が豊富。

以下参考にさせて頂いたブログ等です。

ではまた〜〜!

 

『パリ&ロンドン 2011夏 レ・ミゼラブル(ああ無情)を辿りながら寄り道街歩き』パリ(フランス)の旅行記・ブログ by ヴォルさん【フォートラベル】

「レ・ミゼラブル」の舞台(パリのバリケード)を歩いてみた | 西方見聞録(旧パリレポート)

 

*1:不良少年、少女を矯正する施設。現在だと少年院に近い

*2:グランテールはミュザンの隣に家を借りていた

*3:ボシュエ=レーグル フランスにレーグル・ド・モーと呼ばれていたボシュエさんがいたためその反対でフルネームがレーグル・ド・モーの彼は仲間内でボシュエと呼ばれていた。原作読んだ時絶対一回調べるよね。わかるかい。