霧のブルノエアポート

チェコのブルノを拠点に浴びた芸術などについて記録。

1789ゆかりの地を巡る─パリ歩きその②

遡ること1年と少し前の2018年7月、私は学生の特権を振りかざし*11789の博多座公演に足繁く通っていた。

ミュージカル『1789─バスティーユの恋人たち─』。フランス革命とそれに散りゆく人々を描いたフレンチ・ロック・ウルトラ・サイコウ・パッショネイト・ミュージカルである。

懐かしき学校からチャリをかっ飛ばせばパリが待っていた日々。ロスにならない筈がなかった。幸いにも映像化はされたがロスに拍車をかける謎の仕上がりだった。*2再演いつかな……。

というわけで当時の思い出を懐かしみながら、作品の影を追いかける旅1789編!今回はパリ+αです。

 

・パリ市内編

物語の始まりはボース地方から……だけどボースまでいく余裕は勿論なかったのでパリからスタート!兄さん、私もパリに行く!

 

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世の中さえ変わったら幸せになれる〜

まずはみんな大好きなパレ・ロワイヤル!フランス革命前の当時は国王の従兄弟、オルレアン公が市民のために開放していた広場で、昼間は革命に血道をあげる若者達の牙城、夜は娼婦達のたまり場になっていた……と、作中で言ってた。同名の曲中、手拍子のリズムがズレていた和樹ロナンが可愛かった思い出。

他にもロナンが野宿してたりマリーとフェルゼンの逢引の場所だったり、それからロナンとオランプが最初に出会ったのもココ。いろいろ起きてる。

ちなみに上の人が誰もいないきれいな写真は、観光客の立ち入り時間が終わったあとに柵の隙間からとれました。私はリサーチ不足で行ったときに閉まっていたというだけなのだけど、怪我の功名。翌日ちゃんと開館時間に行ってなかで写真も撮れました!

 

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ロベスピエールとデムーランが通っていたルイ・ルグラン大学。♪自由と平等で名前だけ登場。一応門のプレートにルイ・ルグランの文字があるんですが……暗くて全然見えない。

デムーラン、父親が射殺された苦しみがお前達にわかるはずない!って言ってるロナンに「決めつけないで話し合おう!」はちょっと無神経でしょうと毎度思ってました笑。そりゃロナンも殴りかかるよ。

 

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アンヴァリッドが襲われた!/

アンヴァリッド 。♪国王陛下の名の下にの現場がここです。ルイ14世が退役軍人の収容施設として作った場所で、あのバスティーユ襲撃事件の2日前に民衆は武器を求めてここを襲ったらしい。現在では軍事博物館になっていてナポレオンのお墓なんかが展示してある。門扉が鮮やかなブルーでとっても綺麗!

このシーンはデムーランを助ける為に銃を持った兵士に単身で向かっていくリシュルが好きでした。愛。博多では曲の最後の発砲音後に和樹ロナンが無防備に前に出て行ったシトワイヤン達に対し「馬鹿野郎!」と叫んでいましたが、東京楽を収録したDVDでは言ってなかったですね。どこで増えたんだろう?

 

続いていよいよ作品のクライマックス、バスティーユ牢獄関連地。結構分散していたので順に紹介していく。

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ここはバスティーユ広場。牢獄があったとされる場所のひとつです。七月革命の鎮魂碑が建っており、そちらの方で有名ですね。

因みにレ・ミゼラブルのガブローシュ少年が住処にしていたのもこの辺り。

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そこから程近い地点のアン・ガリ公園にもバスティーユ牢獄跡が。周りは木に覆われているけど柱だとわかる。

でもごく普通の公園になんでもない感じで置いてあるし、裏側は思いっきり落書きしてあった笑。それでいいのか。

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メトロ5番のバスティーユ駅構内にも、なんと牢獄に使っていた石の一部が展示してある。背後には歴史を説明するプレートもあり。

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一緒に、この辺まで牢獄があったよってラインも引いてあった。

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最後にこちら。この橋にバスティーユ牢獄の石が一部使用してあるそう。ここは上記3つの場所からは少し離れたところにあります。

奥見える大きな記念碑が建っている場所はコンコルド広場。マリー・アントワネットルイ16世がギロチンで処刑された場所で、世界遺産にもなっている。

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以上ロナンも収監されていたバスティーユ牢獄関連地でした。実際、門の鎖を二人の民衆が断ち切ったという記録が残っていたりする。ロナン……!「二人」なのがよりえもい。

ラストの♪肌に刻み込まれたもの、の歌い上げからバスティーユの鎖を断ち切るまでの音照ダンスにアクロバット全部で魅せる場面、これぞ1789!って感じで好きだった。

それにしても、♪耐えてみせるの焼きゴテの仕組みがいまだにわからない。岡さん曰く秘密だそうですね。気になる〜〜!

 

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おまけ。オデオン駅を出てすぐのところにあるダントンの銅像。彼がいかに民衆に愛されていたかがわかる。1789のダントンも豪胆で快活で、それでも締めるところではきっちり締めてくれて、思わずついて行きたくなる素晴らしいダントンだった。上原理生さんのダントンがハマりすぎていて私の中のダントンは上原さんの姿をしている。

ギロチンへ送られる最中ロベスピエールの家の前で「ロベスピエール、次はお前の番だ!」と叫んだというダントン。ミュージカル内での革命家3人組のバランスや関係性が物凄く好きだっただけにその後のことを考えると本当に苦しくなる。

 

・ベルサイユ編

本作でパリと同じくらい重要な場所のベルサイユ宮殿。オランプちゃんの職場です。日本語のオーディオガイドを貸してもらえるので解説付きでじっくり楽しめます。それから、ヨーロッパ留学生は就学ビザを見せると入場料無料になるんですね!ほかにも、ルーブルだったりオルセーだったりいろんな美術館にも無料ではいれちゃう。凱旋門も登れる。なんてすばらしいシステムなんでしょう。

ただ、ベルサイユに行った日に結構激し目の雨に見舞われまして……屋外の写真があまり綺麗でない。途中雷が鳴り始める場面もあり、期せずして博多座初日と前楽に想いを馳せることになった。*3

 

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全て、賭けて〜

ベルサイユは見所がたくさんありすぎて全部紹介するとキリがないですが、まずはここでしょう!鏡の回廊。当時贅沢品だった鏡を惜しげなく使ったここはまさに豪華絢爛という言葉がぴったり。

1789の王党派基本セットもここがモデル。舞台上舞台を使ったマリー・アントワネットの初登場シーンは思わず息を呑んだ。

 

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続いて王妃の寝室。緑に花柄が可愛らしいここは、現在マリー・アントワネット使用時の状態が再現されています。

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この暖炉の横の壁に隠し扉があり(ちょうど切れてる……アホ……)1789年10月4日の民衆の襲撃時には命からがらそこから逃げたという話がある。

「いいえ、わたくしは残ります」キリッのマリー様はとてもかっこいいけど、完全に創作なんだよなぁと少し切なくなったり。

 

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さて宮殿を出て、こちらは王妃の離宮、プチトリアノンにあるサロンです。お仲間は皆プチトリアノンでお待ち申し上げておりますのプチトリアノン

ここでポリニャック夫人やランバル夫人などお気に入りの部下達と会話を楽しんだんだろうか。

 

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外に出ると彼女がフェルゼンとの逢瀬を楽しんだ愛の神殿や、

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王宮での生活に飽き飽きして作らせた人工的な農村、王妃の村里が。ここでは実際に動物が放牧されたり農民が働いたりしており、彼女は田舎風の生活を楽しんでいた。

♪遠い闇に光るいなづーまー……と別のミュージカル*4の曲が聴こえてきそう。私は1789の余韻が全く抜けてなかった事もあり♪革命万歳、我らは兄弟のフレーズで大ダメージを食らってかなりのあいだ沈んでしまったので一度しか観ていないが、こうして宮殿を訪れいろいろ考えた後の今なら改めて観たいかも。

 

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これもおまけでプチトリアノン内にある王妃の小劇場。演劇を愛した彼女はベルサイユ内に歌劇場があるにもかかわらずここに専用の劇場を建てて好きな演目を上演させてたんだって!私もこうなりたい。

 

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ここは、三部会が収集されたムニュ・プレジール館……なんだけど、閉まってた!とても残念!!

頑張って扉の隙間から撮った写真がこちらf:id:brno:20190925012434j:image

ここはみなさんのマネキン芸が美しい三部会のシーンに加え私の大好きな♪街は我らのもの、の舞台!一幕の熱を全てぶつけて必死に闘うシトワイヤン達が勇ましくかっこいいあのシーンが本当に好きです。あとロベスピエールとマノンちゃんが最初に絡むのもここ!

 

演出が天才

 

と、一幕ラストの話をしたところで

球技場に行くぞ!あそこなら大勢入れる。

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ベルサイユ宮殿から歩いてすぐのところにあるポーム球技場。二幕はじめの場面。

ここの……♪誰の為に踊らされているのか?の第一声。三浦涼介さんのファルセットにやられた人多いんじゃないでしょうか?(私です)以前舞台で貴族を演じる彼を観ていたので*5観る前は革命家という役所があまりピンときていませんでした。が、めっちゃ良かった……!揺らがない意思を象徴するように伸びた背筋や恐怖政治に走るのが容易に想像できるラストの崩れ方。本当に良かった……。

誰踊の後のクランプも見応え抜群のいいシーンなのに記憶が薄れてきてるから全景映像が欲しい。

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球技場内には他にもバスティーユの模型が置いてあった。

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ミラボーもいるよ!

 

サンドニ

編って謳ってはいるが行く所は一つしかない。

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サンドニ大聖堂です。残念ながら天使は舞い降りなかった。

訪れた中でも、入った瞬間にあっ!と声が上がったのがここ。♪この愛の先にが頭の中で流れ始めた。

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「かたじけない」の現場

ステンドグラスが綺麗でずっと見ていられる。

地下にはルイ16世マリー・アントワネットなどフランスの錚々たるロイヤルファミリーが眠っています。ルイ17世(ルイ・シャルル)の心臓も展示してありました。お墓だし、写真撮らない方がいいのかなと思ったけど普通に撮って良かったらしい。少しだけ後悔。

 

 

これで全部です!!結構行けた気がする!

昨日あげたレミゼ編と並行して回ったので1日目にパリ市内、2日目にベルサイユ、3日目にその他のところって感じで観光しました。

書いていたらまた観たくなってきた……いつまでも再演待ってます。

 

*1:博多座には開演20分前の時点で空席があると学生は席種を問わず半額で購入できるという神のようなシステムがある

*2:カメラワークが大分あれ

*3:博多座公演初日と前楽は台風に見舞われた 雨男克服したんじゃなかったんですか和樹さん

*4:ミュージカル『マリー・アントワネット』 博多座は1789が大千秋楽、MAがトップバッターだったので間が1ヶ月ちょいしか開いていなかった

*5:舞台『グランギニョル