霧のブルノエアポート

チェコのブルノを拠点に浴びた芸術などについて記録。

エリザベートゆかりの地を巡る―ウィーン観光

私の住んでいるブルノはチェコの首都プラハよりもウィーンに近い場所にある。そのため週末に遊びに行くにはもってこい。交通手段はバスか電車。電車で格安チケット(往復1200円弱)が取れたのでうきうきと二泊三日のウィーン旅行に出かけてきた。

ウィーンが舞台となるミュージカルは数あれどやっぱり真っ先に思い浮かぶのはエリザベート。今年の公演は幸いにも一枚だけチケットが確保できたので東京まで観に行くことができた。まだ記憶が新鮮なうちに登場した場所を訪れることができる幸せをかみしめながらいざウィーンへ。

 

一日目

・ホーフブルグ宮殿

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到着直後少々トラブルにあい初日は半日観光。この日は雨だったので帝劇で衝動買いしたエリザベートの折り畳み傘を差しながら移動。この傘長時間さしていると雨が染み出してくるという致命的なバグがあるんだけどどうにかならないものか。

長い列に並んでシシィチケット(ホーフブルグ、シェーンブルン、王立家具博物館のチケットがセットになったお得なチケット。名前だけで惹かれる)を無事購入。シシィがデザインされた紙チケットが欲しかったのでその場購入したけど、並びたくない場合はオンラインチケットの事前購入がおすすめです。

宮殿の周りは観光馬車が闊歩しており雰囲気も楽しい。

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チケット購入後はいよいよ中へ。日本語のオーディオガイドもチケット代に含まれているのでしっかり受け取る。母語で解説が聞けるのは大変ありがたい。ちなみに、スクリプトが欲しいというともらえました。解説を手元に取っておきたい人は是非。

ホーフブルグで見学可能なのは『銀器コレクション』、『シシィミュージアム』、『皇帝の部屋』の三か所。写真撮影は禁止だったので載せられる写真がないのが残念。

見学した中でも特にシシィミュージアムは圧巻!彼女の人生を数々の展示品と共に追うことができる。実際のドレスの展示ではあまりの腰の細さに仰天した。流石、卵三個とオレンジ二つしか召し上がらず、二時間の器械体操をしておられただけある……。この器械体操室は後程、皇帝の部屋のブースで見学することができる。

個人的なハイライトはカテドラルのドレスや結婚前夜のドレス(の、レプリカかな?)、シシィ・スターの髪飾りが再現されている展示!ミュージカルに実際登場したものを目にすると感動もひとしお。思わず歓声が上がる。ほかにも旅行用常備薬のセットや暗殺時に着用していた黒いマントなどミュージカルファンには堪らない展示ばかり。作品が好きな人はトート閣下のお迎えがある前にぜひ一度訪れてほしい。

 

・シュテファン大聖堂

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ライトアップされたシュテファン大聖堂

この日はとにかく寒くて、この後モーツァルトとコンスタンツェが結婚式を挙げたというシュテファン大聖堂を見学しておしまい!ここにはハプスブルク家ロイヤルファミリーの内臓も埋葬されている。ハプスブルク家は変わった慣習持ちで内臓、心臓、骨をバラバラに埋葬してるんだそう。謎。

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丁度ミサをしており内部までは見学できなかった

日本はまだまだ暑いらしいですがこちらはもうヒートテックが要るほど冷え込んできました。

 

二日目

シェーンブルン宮殿

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昨日と打って変わって加工したかのように綺麗な空

二日目はまず今夏エリザベートの野外コンサートも行われたシェーンブルン宮殿へ!昨日のホーフブルグが冬の離宮、こちらは夏の離宮らしいですね。

ここもまたまた写真撮影禁止。目に焼き付けるように部屋を見ていく。

フランツの執務室に飾ってあった大量のシシィを始めとする家族の肖像画や写真、子供たちからのプレゼントをみて思わず涙。フランツの部屋は豪華な装飾などが一切されていない分それらが際立つ。その後フランツの寝室でシシィの訃報を受けとったフランツの話を聞いてもっと涙が出てきた。

ミュージカルはシシィの最期で幕を閉じるからその後は描かれないけど、当然その後もフランツはシシィを失った悲しみを抱えたまま国を治め続けなければいけないわけで……。少し考えればあたりまえのことながらずっと「シシィ寄り」、あるいは「ルドルフ寄り」でしか鑑賞していなかった私はかなりはっとさせられた。次に観るときは随分と作品の印象が変わりそう。あの作品を帝国寄り(というかフランツ寄り)で観ると余計鬱々とした気分になりそうだが……。

その後も最後のダンスで登場する鏡の間などを見学。ナポレオンの部屋なんかもあり、先月訪れたヴェルサイユできいた説明とリンクしていく感覚が非常に楽しい。マリア・テレジアとその娘たちのエピソードもたくさん聞けてとっても充実していた。

 

・アウグスティーナ教会

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ここもミュージカルに登場しますね。フランツとシシィが黄昏時の結婚式を挙げた教会。昨日訪れたシュテファン大聖堂に比べると、白を基調としたシンプルな印象を受ける。

ここで結婚式を挙げたのはシシィ達だけでなく、マリア・テレジアとフランツ1世、ナポレオンとマリー・ルイーズ、そしてそしてルイ16世マリー・アントワネットも!錚々たる顔ぶれ!それとハプスブルク家のみなさんの心臓が収められているのもここだそう。

 

 

・カプツィーナー納骨堂

シシィ達たちが眠っている納骨堂。分葬の話を都度都度だしていたが中でも骨が収められているのがここになる。ただ、フランツは遺体をバラバラに埋葬するのを断ったそうなのでフランツ、シシィ、ルドルフの遺体は解剖されずにここに収まっています。

中にはとにかくたくさんの棺、棺、棺。一緒に行った友人が棺桶ミュージアムと評していたのが的を得ている。

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中でもひときわ大きかったのがマリア・テレジアの棺。彼女の家族の棺とともに眠っていた。

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メキシコ旗、ソンブレロなど多くのメキシコからの供物

メキシコ皇帝になったのち革命軍に処刑されたフランツの弟マクシミリアン皇帝の棺。たくさんのメキシコからのお供え物をみて涙がこみ上げてきました。私のナショナリティ微塵も彼らに帰属しませんが、二日かけて彼らの歴史を追ってきたせいかどうも感情移入してしまった。こうして海を渡ってまで手向けに訪れる人がいるのだという事実がなんだかいいなとおもう。

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続いてシシィ達のお墓。左からシシィ・フランツ・ルドルフが眠っている。生前バラバラだった家族がようやっと一緒に眠っていることに、そしてシシィとルドルフの霊前にはハンガリーからと思しきお供え物があることに再び泣きそうになっていた、が!

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右下に注目。

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どうみてもたまちゃぴ

誰ですか、18年月組エリザのポストカードをお供えしたのは。涙引いたわ。

家族をバラした張本人をせっかく三人そろって静かに眠ってるところに置くんじゃない。

 

国立図書館

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ここはエリザベートとは関係ないんですが、本当にとにかくきれいだったから載せます。

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美女と野獣』に登場する図書館のモデルになったと言われている場所で、世界で一番美しい図書館のひとつ。大理石の柱に天井いっぱいのフレスコ画、そして壁を埋め尽くさんばかりの本!これをプレゼントされたら感動なんて言葉じゃ足りないでしょう……。

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ちょっとめずらしい星座を描いた天球儀なんかも展示されていた。

もう、ずっと居たいほど美しい場所。ここで踊るって最高の贅沢だよなぁ……。

 

三日目

ベルヴェデーレ宮殿

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ここはウィーンで美術史美術館に次いで二番目に大きな美術館。クリムトの『接吻』で有名。美術史美術館に行く予定が残念ながら月曜休館だったのでこちらに行ってきましたが、結果的に正解だったかもしれない。

入ってすぐにハプスブルク家に関する展示室があった。

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死の床にいるフランツの肖像。彼は第一次世界大戦の最中、86歳で亡くなりました。

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隣にはフランツとシシィの肖像画。並べてもらってよかったね、フランツ。

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そしてこちらが一番魅入ってしまった作品。ルドルフの胸像の静物画。左下には彼が着ていた軍服がくたびれた状態で描かれており、自然豊かな田舎風の室内も相まってマイヤーリンクでの悲劇を思い起こさせる。傍らの作品説明には心中相手のマリー・ヴェッツェラのことにも触れてありました。

その他多くの展示がありすべて回りきるのに四時間ほどを要した。これはみんな各々わからん単語を逐一調べたり宗教画の前で聖書の原典を探してたりしたのが原因だとは思うが。

大満足でしたが、少しお金を出してでも日本語のオーディオガイドを借りるべきだったかなと思いました。せっかく行ったんなら知識も入れて帰りたいよね。

 

 

他にも、ウィーン料理いっぱい食べたりザッハトルテアプフェルシュトゥルーデル食べたり教会でパイプオルガンのコンサート聴いたりとけっこう満喫しました!

シシィチケットに含まれている王立家具博物館や行こうと思ってた軍史博物館には時間の関係で行けなかったが、ウィーンには来月また行く予定なのでその時に訪れようと思います。

 

 

11/3追記

再訪して上記の場所に行ってきました。

・王立家具博物館

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博物館内にあるシシィの肖像画のレプリカ 本物はシシィ博物館に

普通の住宅街に紛れており場所がとっても分かりづらい。Google マップを頼りになんとかたどり着く。

中にはシェーンブルンやホープブルグ内に当時あった部屋が再現されてあったり王宮所蔵の家具がこれでもかと展示してある。宮殿は撮影禁止だったのでここで写真が撮れるのは嬉しい。

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ルドルフの一生を追った肖像画たち

他の施設に比べるとルドルフの展示が多めな印象。幼少期に使っていたベビーベッドやルドルフが生活していた「トルコの間」の再現などもあり、ファンは行ってみると楽しいかも。

 

 

・軍史博物館

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目玉展示「サラエボ事件で皇太子夫妻が乗っていた車」

ウィーン中央駅から徒歩15分ほどのところにある博物館。帝国時代から近代までの軍に関する展示がされている。やはり、第一次世界大戦時のものが多い。

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私のお目当てはこちら。フランツの時代の軍服や勲章の展示。

この辺のものは「フランツ・ヨーゼフの時代」としてひとまとめに展示してあるのでわかりやすい。

ちなみに毎月第一日曜日はウィーン内の複数の博物館の入館料が無料になるので博物館巡りをするならこの日がオススメ。タダでいろいろ回ることができました。

詳しくはこちら:http://guide.wien.main.jp/?eid=66

 

そして、チェコでもエリザベートの上演が決定いたしました!

なんとチェコ初演。初演に立ち会えるなんて幸せです。初日は11/30ですがプレミアデーは一般販売されておらず年末の12/28に観てくる予定です。とっても楽しみ。

また感想を書きたいと思います。ではまた!