霧のブルノエアポート

チェコのブルノを拠点に浴びた芸術などについて記録。

ブルノでの初観劇―バレエ『白鳥の湖』ブルノ/ヤナーチェク劇場

ブルノに着いて初めての観劇をしてきました!

ブルノの中心にもヤナーチェク劇場という国立歌劇場がある。読んで字のごとくモラヴィア出身の作曲家レオシュ・ヤナーチェクから名前をとった劇場である。(調べるまで知らなかったけど)。上演している演目はバレエだったりオペラだったりコンサートなんかもここで。日本だと同じ演目を数日に渡り上演するのが一般的だがチェコだと一日ごとに演目が変わる。今日はバレエ、明日はオペラなんてことは普通。日本人からするとちょっと不思議な感覚。

 

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ヤナーチェク劇場外観

・チケット購入

日本で当日券芸人だった私なのでこっちでも元気に当日券芸人。チケットオフィスは劇場内、メインエントランスから少し歩いたところにある。

開演40分前くらいに行って全然席あった。二階三列目のセンブロだった。120ckz(約550円)だった。120ckz(約550円)だった。当日学割券はこの値段らしい。安いとか学生に優しいとかそういうレベルではない。ちょっと心配になる。

 

・劇場について

劇場内は日本でいう○○劇場!みたいな感じより市民文化ホール的なのに近い雰囲気。キャパは1,383席。今まで行った劇場のなかだと愛知の刈谷市文化総合センターが近いかな。地方から遠征ばかりしているから東京の劇場に例えられなくて申し訳ない。後々知ったことには、こっちは新しいほうの劇場なんだと。いかにもヨーロッパの劇場な感じの旧劇場もすぐ隣にあるらしい。

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中に入るとドレスアップした人でいっぱい。バーカウンターでワインを受けとりロビーでゆっくりする人たちをみてちょっとドキドキする……。

客席内に入れるのは開演10分前かららしいので私もロビーでしばしぼんやり。

 

・開幕

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二階最前からの景色

今回の演目はチャイコフスキー作『白鳥の湖』。バレエはノンバーバルだから言語関係なく楽しめるのがいい。大まかなあらすじは知っている、程度の知識でしたが十分面白かったです。

最初に人間のオデット姫が悪魔のロットバルトに白鳥に変えられてしまうシーンが付いてた。わかりやすさ重視?そしてこのロットバルト、宮廷のシーンでもしょっちゅう出てくる。立ち位置は大臣みたいな感じだろうか。髪は長髪を垂らしており、詰襟の金糸が入った裾の長い黒燕尾と彼の衣装造形が結構好みでした。

二階とはいえセンブロなので全体がよく見える!特に本作の見どころのひとつである二幕の群舞は上から見たほうがフォーメーションや揃った動きを堪能できてよかった気がする。ふんわり円形に広がったチュチュが舞台全体でそろって動くのは見ごたえ抜群。この湖のシーンはスモークを焚いていて、ブルーと時折ピンクを混ぜた照明が生えてとっても幻想的でした。ここで白鳥になる呪いを解くために明日の舞踏会で貴方に愛を誓いますと約束するジークフリート王子。

三幕冒頭の王宮の舞踏会のシーンでは世界各国の衣装が丁寧に作りこまれていて目にとても楽しい。ここでロットバルトの娘オディールをオデットだと勘違いして結婚相手に選んじゃうんだけど、そのあとのオディールが思いっきりジークフリートを馬鹿にするから面白くて!最後ちょっとビンタしてた。ジークフリートについてお前さあ……間違えんなよ……と思っている節があるのでこのシーンはとってもスッキリ!

でもラストに腰を抜かしました。騙されたことに気付いて慌てて湖に戻ったジークフリートがロットバルトと戦って勝つところまではいいんだけど……そのあともオデットは白鳥のまま。悲し気に羽を動かす彼女にやるせなく手を伸ばすジークフリートの姿で幕でした。そっちか~……。

この終わり方には正直びっくり。確かに原典だとどうにもならないことを知った二人が来世で結ばれようと湖水で心中して終わるというもの。ただ、勝ったら呪いが解けてハッピーエンドって演出のほうが有名だから完全にそれと思い込んでいてショックだった。しかも心中すらしてない!来世で一緒になろうっていう気概すらないのかジークフリート!オデットはもう助からないんだぞ!と謎に王子へのもやもやを募らせていた。

 

と、最後は少しもやっとしてしまったものの公演はとっても楽しかったです!こんだけ気軽に劇場に足を運べる街に10か月もいられるなんて幸せ~!なんて言っていられるのもまだまともに授業が始まっていない今のうちかもしれませんが、とにかく幸せな時間でした。

ではまた!